かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける

 季節  冬
 出典  新古今和歌集
 作者  大伴家持。718(?)年-785年8月28日没。
 意訳  七夕の夜、天の川にカササギがかける白い橋。宮中の建物をつなぐ渡り廊下に降りた霜の白さを見ると、夜も更けたと思われるよ。

この意訳を見て、ものすごい違和感を覚えませんか?
わたしには、「霜」から「七夕」は、絶対連想できません
この歌は『新古今和歌集』で冬の部に属しているので冬の歌と分類されています
つまり、冬の情景に「カササギがかける白い橋」が割り込んできているのです
なぜ、霜の降りる冬の季節の歌で、七夕を引き合いにだすのでしょうか

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 他のたとえで申しますと
たき火が目の前にあるとします

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赤い炎に照らされて、周りで手をあぶる子供たちの顔も真っ赤です
アルミホイルに包まれたサツマイモが燃える薪のすきまからちらほら見えています
早くできないかな、あっつい焼き芋をほくほく食べたいな

 その時、「たき火の赤い炎」→「赤」→「スイカ」
という発想になりますか?
真っ赤→紅葉
とか
真っ赤→溶けた鉄
または
真っ赤→熱々のボルシチ
とかじゃないですか?
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・・・と、思う人は いない と思うのです
「たき火」は、秋か冬のもので、「スイカ」は夏のものです
冬のスイカなんてきっとハウスのスイカで、真夏の露地もののと違って甘さだって控えめに決まっています
冬に暖炉とかの前で食べる冷たいスイーツはアイスクリームの方がいいです
アイスクリームにウエハースとか小さく切ったスポンジケーキかなんかのっていて、その上から熱々の真っ赤なベリーソースが掛かっているのが正道ではないでしょうか!

(ハッと我に返る)そのくらい、霜と七夕の関係は、不自然なものに感じました

ところで、みなさんの知っている七夕の神話に、カササギは出てきますか?
織女(おりひめ又はしょくじょ)さまが天の川を渡って、牽牛(けんぎゅう)に会いにいくために、カササギが翼を広げて橋を作ってくれますか?

私が知っている七夕のお話は、七月七日の夜、彦星(ひこぼし)さんが船に乗って天の川を渡り、織女さんを迎えに行きます。
カササギは登場しません。
そして、会いに行くのは、彦星さんで、織女さんではありません。

調べていくにつれ、いろいろな七夕があることを知りました。

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