カササギは中国の伝説の中で登場していました。
『万葉集』(750年頃成立)では132首もの、七夕の歌があります。
この悲しい恋の物語が当時の歌人の間で、大流行したのが、よくわかります。
みんなこぞって、人々に感動の涙を流させる悲恋の歌をつくったのでしょう。
そのうち、38首が柿本人麿の作で、次に多いのが大伴家持の13作になります。
しかし、家持の「かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける」は、収録されていません。
他、詠み人知らずが60首あります。
『万葉集』には、他の歌人も含めて、「カササギ」を詠った歌は一首もないのです。
橋を渡る表現は5首あります。
橋を知っているということは、当然、それはカササギの橋のことと思われますが、カササギは『万葉集』には出てこないのです。
「カササギの橋」の代わりは、船でした
『万葉集』の彦星は船に乗って、織女を迎えに行きます。
船で天の川を渡る歌は35首。
たった5首しかなかった「橋」の歌に比べると、その差は歴然としています。
川を渡るなら、「船」か「橋」の二択ですよね、普通。
「橋」の人気のなさに、びっくりです。
カササギを知らない人に、カササギとは何ぞやと説明しながら歌を作るわけにはいかないので、省いたのでしょうか。
つまり、カササギが、伝説の橋の足をひっぱっちゃっています?
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