カササギについて調べている間に棚機津姫(タナバタツメ)伝説ということばに度々出会いました。
日本古来から棚機津姫伝説があり、これと中国の七夕伝説が融合したので、七夕をタナバタと読むのだ、という説です。
棚機津姫伝説とは、いろいろなサイトや事典類を読むと
「川などの水辺で、処女(巫女?)が機を織って衣を作り、男性(神?)の訪れを待つ」
と、いうものらしいのですが、それについての詳しい資料を知りたくなりました。
折口信夫氏の『水の女』と『たなばたと盆祭りと』
ウィキペディア八櫛神社 撮影者:Kazakura氏
たなばたつめとは、たな(湯河板挙)の機中にいる女ということである。銀河の織女星は、さながら、たなばたつめである。年に稀におとなう者を待つ点もそっくりである。
『水の女』より
棚(タナ)は懸崖造りの桟敷(上は懸崖造りの参考のため掲載)のことを、いうそうです。
そこで村の神女の中から選り出された神の嫁となる処女が機を織って、神の訪れを待つ、と説明されています。
この後、こう続きます。
かうした暗号は、深く藤原・奈良時代の漢文学かぶれのした詩人、其から出た歌人を喜ばしたに違ひない。彼等は、自分の現実生活すら、唐代以前の小説の型に入れて表して、得意になっていた位だから、文学的には早く支那化せられて了うた。
『水の女』より
まさしく、柿本人麿や大伴家持たちのことを言っていますね。
今まで見てきたように、折口氏言うところの「漢文学かぶれ」の度合で、七夕伝説の受け入れ方に差がありました。
詠み人知らずの大多数の歌人たちは、星もカササギも語らず、川辺で舟を待つ女の切なさを描きました。
そして、柿本人麿や大伴家持
のような知識人たちは、積極的にカササギを取り込んで、女が自身の足で橋を渡る歌を作っています。
七夕の乞巧奠は漢土の伝承をまる写しにしたように思うている人が多い。ところが存外、今なお古代の姿で残っている地方地方が多い。
『水の女』より
古代の形が、どこかに残っている。
川辺の小屋に機をしつらえ、乙女を一晩置く習慣が?
気になります。
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