柿本人麿
かきのもとのひとまろ
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の 長々し夜を 独りかも寝む
あしびきの やまどりのおの しだりおの ながながしよを ひとりかもねん
意訳 |
山鳥の尾のような長い長い夜を、わたしに一人ぼっちで寝ろと、いうのでしょうか? |
歌の種類 |
恋 『拾遺集 恋778』 |
決まり字 |
あしびきの やまどりのおの しだりおの なかなかしよを ひとりかもねん |
語呂合わせ |
足ながなが(あし ながなが) |
人物
柿本人麿(660年-720年頃)飛鳥時代の歌人
三十六歌仙の一人 和歌三神の一人
のちに紀貫之が「柿本人麿なむ歌の聖なり」と称え、歌聖と尊ばれるようになりました
恋愛歌のほかに、歌番号1の天智天皇、歌番号2の持統天皇の息子 草壁皇子(662-689年)への挽歌などを作成しています
どれだけ長い夜なのか、がポイント!
『百人一首がよくわかる』という橋本治さんの著作で、この歌の紹介が秀逸だったので、ご紹介したいと思います
この歌は一言で言って最後の1節、「夜をひとりかも寝む(長い夜を一人で寝ろってか)」だけあればよい歌です
ところが
まず、山鳥の尾っぽが登場します
次に、その尾が下に垂れている(しだり尾)とまで説明して
またまたその上に「ながながし」とまで付けてきます
文字通り、「長い」を説明するのに、どれだけ長くてつまらない説明がいるのか
と思うでしょう?
長くて、つまらない、と感じますよね?
これで、「恋人がいない夜は長くて、つまらないんだよっ」ということを絶妙に表現しているのだ、と橋本氏はおっしゃっています
すごい。まさに目からウロコ!でした
読み上げ
002 持統天皇 春過ぎて | 004 山部赤人 田子の浦に |