持統天皇
じとうてんのう
春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山
はるすぎて なつきにけらし しろたえの ころもほすちょう あまのかぐやま
意訳 |
春が過ぎ、夏が来たようです。夏のお祭りのための真っ白な着物が、天の香具山に干してあると、聞きました。 |
歌の種類 |
夏 『新古今和歌集 夏175』 |
決まり字 |
はるすぎて なつきにけらし しろたえの ころもほすちょう あまのかぐやま |
語呂合わせ |
春過ぎ、衣干す(はるすぎ ころもほす) |
人物
持統天皇(645年-703年)第41代天皇。
夫、大海人皇子と共に戦い壬申の乱で勝利。
夫の死後、息子のライバル大津皇子を殺害し、孫即位までの間、自身が天皇として統治する。
歌番号1の天智天皇の娘。
三角関係で悩む 天の香具山の恋愛事情
天の香具山は畝傍山(うねびやま)が愛おしく、妻にしようとしていました。
ところが、耳成山(みみなしやま)も畝傍山を妻にしようとしていたので、両者(両山?)は争いました。
という神話があります。
地図のマークは畝傍山を指しています。
画面左側にきれいな二等辺三角形を描いて、天の香具山と耳成山が位置しています。
山だけに三角関係というわけですね。
この歌が藤原京時代のものであれば、持統天皇は天の香具山から1Kmほどの場所にいたことになります。
この歌は、中大兄皇子(天智天皇)御製です。
最後にこう続きます。
神代でさえそうなのだから、今の時代、妻をめぐって人々が争うのも無理がないね。
しれっとこう嘯いた中大兄皇子(天智天皇)は、大海人皇子の妻、額田王を奪い、同時に、自分の娘二人を大海人皇子に嫁がせます。
そのうちの一人が、鵜野讃良皇女(後の持統天皇)です。
原歌アレンジ
『万葉集』にある原歌では、次のようになっています。
春すぎて 夏来るらし 白妙の 衣ほしたり 天の香具山
万葉集のものが、目の前の実景をを表しているのに対し、伝承の意味合いが深まって共感を呼ぶものとなった感じがします。
白い衣とは何でしょう
諸説あります。
- 夏の神事にかかわる乙女たちの斎衣または小忌衣
- 天の香具山の甘檮明神は人の嘘を見抜くのに、白い衣を水に浸していたという。その伝説の衣
- 初夏、咲き乱れる卯の花
- 初夏にたなびく霞
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