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005 猿丸大夫 奥山に

猿丸大夫猿丸大夫
さるまるだゆう

奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき
おくやまに もみじふみわけ なくしかの こえきくときぞ あきはかなしき

意訳
奥山に散った紅葉を踏んで、鹿が鳴きます。その声を聞くと、さらに秋のもの悲しさを感じます。
歌の種類
秋 『古今和歌集 秋歌上215』
決まり字
おくやまに もみじふみわけ なくしかの
こゑきくときぞ あきはかなしき
語呂合わせ
 置く声(おく こえ)

人物

猿丸大夫(生没年未詳)伝説的な歌人。
はっきりと本人作という歌は一首も残っていない。
『古今集』真名序に「大伴の黒主が歌は、古の猿丸大夫の次なり」と書かれており、歌人であることは分かるが、実際の歌については不明。
ちなみに出典の『古今集』でのこの歌は’詠み人しらず’という扱い。

原歌アレンジ

『新撰万葉集』では「黄葉(もみじ)」と表記されています。
『古今集』では、紅葉の歌群(晩秋)ではなく、萩の歌群(仲秋)に位置しています。
萩の黄葉は、黄色です。
定家は、もの悲しさの情景を強調するのに、必要なアレンジと思ったのでしょう。

踏んだのは、鹿か、人か

「踏み分け」という動詞が、その後に続く「鹿」なのか、この歌を詠んでいる人なのか、という解釈が二通りあるそうです。
鹿は奥山にいて、もみじも奥山に生えているというのは両説とも同じです。
違いは、鹿の声をどこで聞いたのか、になります。
山奥に入っていって、聞いたのか。
人里で、遠くに鳴く鹿の声を聞いたのか。
定家流に淋しさの強いのは、遠くの鹿のような気がします。

読み上げ

004 山部赤人 田子の浦に 006 中納言家持 かささぎの

百人一首 初めてかるた

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