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百人一首一覧 種類別

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歌番号順 むすめふさほせ 種類順 決まり字、語呂合わせ

百人一首を種類別に並べた一覧です。歌と作者名をよみがな付きで記載。各歌の歌番号から、詳細ページにリンクしています。詳細ページでは、意訳などのほか、歌の読み上げも聞けます。

ほかに、むすめふさほせ(暗記グループ)と、決まり字と語呂合わせの一覧もあります。(上記の水色部分)

番号
作者
春の歌
花の色は 移りにけりな いたづらに 我が身世にふる ながめせし間に
はなのいろは うつりにけりな いたずらに わがみよにふる ながめせしまに
小野小町
おののこまち
君がため 春の野に出でて 若菜摘む 我が衣手に 雪は降りつつ
きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ
光孝天皇
こうこうてんのう
久方の 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ
ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しずごころなく はなのちるらん
紀友則
きのとものり
人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける
ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににおいける
紀貫之
きのつらゆき
いにしへの 奈良の都の 八重桜 今日九重に 匂ひぬるかな
いにしえの ならのみやこの やえざくら きょうここのえに においぬるかな
伊勢大輔
いせのたいふ
高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 たたずもあらなむ
たかさごの おのえのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなん
前中納言匡房
さきのちゅうなごんまさふさ
夏の歌
春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山
はるすぎて なつきにけらし しろたえの ころもほすちょう あまのかぐやま
持統天皇
じとうてんのう
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ
なつのよは まだよいながら あけぬるを くものいづこに つきやどるらん
清原深養父
きよはらのふかやぶ
ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば ただ有り明けの 月ぞ残れる
ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる
後徳大寺左大臣
ごとくだいじのさだいじん
風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける
かぜそよぐ ならのおがわの ゆうぐれは みそぎぞなつの しるしなりける
従二位家隆
じゅにいいえたか
秋の歌
秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ
あきのたの かりおのいおの とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ
天智天皇
てんぢてんのう
奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき
おくやまに もみじふみわけ なくしかの こえきくときぞ あきはかなしき
猿丸大夫
さるまるだゆう
ちはやぶる 神代も聞かず 龍田川 唐紅に 水くくるとは
ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ からくれないに みずくくるとは
在原業平朝臣
ありはらのなりひらあそん
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ
ふくからに あきのくさきの しおるれば むべやまかぜを あらしというらん
文屋康秀
ふんやのやすひで
月見れば ちぢに物こそ 悲しけれ 我が身一つの 秋にはあらねど
つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど
大江千里
おおえのちさと
心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花
こころあてに おらばやおらん はつしもの おきまどわせる しらぎくのはな
凡河内躬恒
おおしこうちのみつね
山川に 風のかけたる 柵は 流れもあへぬ 紅葉なりけり
やまがわに かぜのかけたる しがらみは ながれもあえぬ もみじなりけり
春道列樹
はるみちのつらき
白露に 風の吹きしく 秋の野は 貫き止めぬ 玉ぞ散りける
しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける
文屋朝康
ふんやのあさやす
八重葎 茂れる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり
やえむぐら しげれるやどの さびしきに ひとこそみえね あきはきにけり
恵慶法師
えぎょうほうし
嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 龍田の川の 錦なりけり
あらしふく みむろのやまの もみじばは たつたのかわの にしきなりけり
能因法師
のういんほうし
さびしさに 宿を立ち出でて 眺むれば いづこも同じ 秋の夕暮れ
さびしさに やどをたちいでて ながむれば いづこもおなじ あきのゆうぐれ
良暹法師
りょうぜんほうし
夕されば 門田の稲葉 おとづれて 芦のまろやに 秋風ぞ吹く
ゆうされば かどたのいなば おとずれて あしのまろやに あきかぜぞふく
大納言経信
だいなごんつねのぶ
秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ
あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいづるつきの かげのさやけさ
左京大夫顕輔
さきょうのだいぶあきすけ
村雨の 露もまだ干ぬ 槇の葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ
むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに きりたちのぼる あきのゆうぐれ
寂蓮法師
じゃくれんほうし
きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む
きりぎりす なくやしもよの さむしろに ころもかたしき ひとりかもねん
後京極摂政前太政大臣
ごきょうごくせっしょうさきのだいじょうだいじん
み吉野の 山の秋風 さ夜更けて ふるさと寒く 衣打つなり
みよしのの やまのあきかぜ さよふけて ふるさとさむく ころもうつなり
参議雅経
さんぎまさつね
雑秋の歌
小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今一度の 行幸待たなむ
おぐらやま みねのもみじば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなん
貞信公
ていしんこう
冬の歌
田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ
たごのうらに うちいでてみれば しろたえの ふじのたかねに ゆきはふりつつ
山部赤人
やまべのあかひと
かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける
かささぎの わたせるはしに おくしもの しろきをみれば よぞふけにける
中納言家持
ちゅうなごんやかもち
山里は 冬ぞ寂しさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば
やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもえば
源宗于朝臣
みなもとのむねゆきあそん
朝ぼらけ 有り明けの月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪
あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしののさとに ふれるしらゆき
坂上是則
さかのうえのこれのり
朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれ渡る 瀬々の網代木
あさぼらけ うじのかわぎり たえだえに あらわれわたる せぜのあじろぎ
権中納言定頼
ごんちゅうなごんさだより
淡路島 通ふ千鳥の 鳴く声に 幾夜寝覚めぬ 須磨の関守
あわじしま かようちどりの なくこえに いくよねざめぬ すまのせきもり
源兼昌
みなもとのかねまさ
雑の歌
我が庵は 都の辰巳 しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり
わがいおは みやこのたつみ しかぞすむ よをうじやまと ひとはゆうなり
喜撰法師
きせんほうし
これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関
これやこの ゆくもかえるも わかれては しるもしらぬも おうさかのせき
蝉丸
せみまる
天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ
あまつかぜ くものかよいじ ふきとじよ おとめのすがた しばしとどめん
僧正遍昭
そうじょうへんじょう
誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに
たれをかも しるひとにせん たかさごの まつもむかしの ともならなくに
藤原興風
ふじわらのおきかぜ
めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな
めぐりあいて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よわのつきかな
紫式部
むらさきしきぶ
大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立
おおえやま いくののみちの とおければ まだふみもみず あまのはしだて
小式部内侍
こしきぶのないし
夜をこめて 鳥の空音は はかるとも よに逢坂の 関は許さじ
よをこめて とりのそらねは はかるとも よにおうさかの せきはゆるさじ
清少納言
せいしょうなごん
もろともに あはれと思へ 山桜 花より外に 知る人もなし
もろともに あわれとおもえ やまざくら はなよりほかに しるひともなし
前大僧正行尊
さきのだいそうじょうぎょうそん
春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ
はるのよの ゆめばかりなる たまくらに かいなくたたん なこそおしけれ
周防内侍
すおうのないし
心にも あらで憂き世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな
こころにも あらでうきよに ながらえば こいしかるべき よわのつきかな
三条院
さんじょういん
契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり
ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あわれことしの あきもいぬめり
藤原基俊
ふじわらのもととし
わたの原 漕ぎ出でて見れば 久方の 雲居にまがふ 沖つ白波
わたのはら こぎいでてみれば ひさかたの くもいにまごう おきつしらなみ
法性寺入道前関白太政大臣
ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだいじょうだいじん
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる
よのなかよ みちこそなけれ おもいいる やまのおくにも しかぞなくなる
皇太后宮大夫俊成
こうたいごうぐうのだいぶしゅんぜい
ながらへば またこの頃や 忍ばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき
ながらえば またこのごろや しのばれん うしとみしよぞ いまはこいしき
藤原清輔朝臣
ふじわらのきよすけのあそん
おほけなく うき世の民に 覆ふかな 我が立つ杣に 墨染の袖
おおけなく うきよのたみに おおうかな わがたつそまに すみぞめのそで
前大僧正慈円
さきのだいそうじょうじえん
花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは 我が身なりけり
はなさそう あらしのにわの ゆきならで ふりゆくものは わがみなりけり
入道前太政大臣
にゅうどうさきのだいじょうだいじん
人も惜し 人も恨めし あぢきなく 世を思ふ故に もの思ふ身は
ひともおし ひともうらめし あじきなく よをおもうゆえに ものおもうみは
後鳥羽院
ごとばいん
ももしきや 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり
ももしきや ふるきのきばの しのぶにも なおあまりある むかしなりけり
順徳院
じゅんとくいん
羇旅(きりょ)の歌
天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも
あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも
阿部仲麿
あべのなかまろ
わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣り舟
わたのはら やそしまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりぶね
参議篁
さんぎたかむら
このたびは 幣もとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに
このたびは ぬさもとりあえず たむけやま もみじのにしき かみのまにまに
管家
かんけ
世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ 海人の小舟の 綱手かなしも
よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ あまのおぶねの つなでかなしも
鎌倉右大臣
かまくらのうだいじん
離別の歌
立ちわかれ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む
たちわかれ いなばのやまの みねにおうる まつとしきかば いまかえりこん
中納言行平
ちゅうなごんゆきひら
恋の歌
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の 長々し夜を 独りかも寝む
あしびきの やまどりのおの しだりおの ながながしよを ひとりかもねん
柿本人麿
かきのもとのひとまろ
筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる
つくばねの みねよりおつる みなのがわ こいぞつもりて ふちとなりぬる
陽成院
ようぜいいん
陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに
みちのくの しのぶもじずり たれゆえに みだれそめにし われならなくに
河原左大臣
かわらのさだいじん
住の江の 岸に寄る波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ
すみのえの きしによるなみ よるさえや ゆめのかよいじ ひとめよくらん
藤原敏行朝臣
ふじわらのとしゆきあそん
難波潟 短き芦の 節の間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや
なにわがた みじかきあしの ふしのまも あわでこのよを すぐしてよとや
伊勢
いせ
わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ
わびぬれば いまはたおなじ なにわなる みをつくしても あわんとぞおもう
元良親王
もとよししんのう
今来むと いひしばかりに 長月の 有り明けの月を 待ち出でつるかな
いまこんと いいしばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな
素性法師
そせいほうし
名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな
なにしおわば おうさかやまの さねかずら ひとにしられで くるよしもがな
三条右大臣
さんじょうのうだいじん
小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今一度の 行幸待たなむ
おぐらやま みねのもみじば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなん
貞信公
ていしんこう
みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見きとてか 恋しかるらむ
みかのはら わきてながるる いづみがわ いつみきとてか こいしかるらん
中納言兼輔
ちゅうなごんかねすけ
有り明けの つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし
ありあけの つれなくみえし わかれより あかつきばかり うきものはなし
壬生忠岑
みぶのただみね
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな
わすらるる みをばおもわず ちかいてし ひとのいのちの おしくもあるかな
右近
うこん
浅茅生の 小野の篠原 忍れど あまりてなどか 人の恋しき
あさじうの おののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこいしき
参議等
さんぎひとし
忍れど 色に出でにけり 我が恋は 物や思ふと 人の問ふまで
しのぶれど いろにいでにけり わがこいは ものやおもうと ひとのとうまで
平兼盛
たいらのかねもり
恋すてふ 我が名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひ初めしか
こいすちょう わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもいそめしか
壬生忠見
みぶのただみ
契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは
ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すえのまつやま なみこさじとは
清原元輔
きよはらのもとすけ
逢ひ見ての 後の心に 比ぶれば 昔は物を 思はざりけり
あいみての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもわざりけり
権中納言敦忠
ごんちゅうなごんあつただ
逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし
あ(お)うことの たえてしなくば なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし
中納言朝忠
ちゅうなごんあさただ
あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな
あわれとも いうべきひとは おもおえで みのいたずらに なりぬべきかな
謙徳公
けんとくこう
由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな
ゆらのとを わたるふなびと かじをたえ ゆくえもしらぬ こいのみちかな
曾禰好忠
そねのよしただ
風をいたみ 岩打つ波の おのれのみ くだけて物を 思ふ頃かな
かぜをいたみ いわうつなみの おのれのみ くだけてものを おもうころかな
源重之
みなもとのしげゆき
みかき守 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ 物をこそ思へ
みかきもり えじのたくひの よるはもえ ひるはきえつつ ものをこそおもえ
大中臣能宣朝臣
おおなかとみのよしのぶあそん
君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな
きみがため おしからざりし いのちさえ ながくもがなと おもいけるかな
藤原義孝
ふじわらのよしたか
かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを
かくとだに えやはいぶきの さしもぐさ さしもしらじな もゆるおもいを
藤原実方朝臣
ふじわらのさねかたあそん
明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな
あけぬれば くるるものとは しりながら なおうらめしき あさぼらけかな
藤原道信朝臣
ふじわらのみちのぶあそん
嘆きつつ 独り寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る
なげきつつ ひとりぬるよの あくるまは いかにひさしき ものとかはしる
右大将道綱母
うだいしょうみちつなのはは
忘れじの 行く末までは 難ければ 今日を限りの 命ともがな
わすれじの ゆくすえまでは かたければ きょうをかぎりの いのちともがな
儀同三司母
ぎどうさんしのはは
滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ
たきのおとは たえてひさしく なりぬれど なこそながれて なおきこえけれ
大納言公任
だいなごんきんとう
あらざらむ この世の外の 思ひ出に 今一度の 逢ふこともがな
あらざらん このよのほかの おもいでに いまひとたびの おうこともがな
和泉式部
いずみしきぶ
有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする
ありまやま いなのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやはする
大弐三位
だいにのさんみ
やすらはで 寝なましものを さ夜更けて 傾くまでの 月を見しかな
やすらわで ねなましものを さよふけて かたぶくまでの つきをみしかな
赤染衛門
あかぞめえもん
今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで いふよしもがな
いまはただ おもいたえなん とばかりを ひとづてならで いうよしもがな
左京大夫道雅
さきょうのだいぶみちまさ
恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ
うらみわび ほさぬそでだに あるものを こいにくちなん なこそおしけれ
相模
さがみ
音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじや袖の 濡れもこそすれ
おとにきく たかしのはまの あだなみは かけじやそでの ぬれもこそすれ
祐子内親王家紀伊
ゆうしないしんのうけのきい
うかりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを
うかりける ひとをはつせの やまおろし(よ) はげしかれとは いのらぬものを
源俊頼朝臣
みなもとのとしよりあそん
瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ
せをはやみ いわにせかるる たきがわの われてもすえに あわんとぞおもう
崇徳院
すとくいん
長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れてけさは 物をこそ思へ
ながからん こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおもえ
待賢門院堀河
たいけんもんいんのほりかわ
思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり
おもいわび さてもいのちは あるものを うきにたえぬは なみだなりけり
道因法師
どういんほうし
夜もすがら 物思ふ頃は 明けやらで 閏のひまさへ つれなかりけり
よもすがら ものおもうころは あけやらで ねやのひまさえ つれなかりけり
俊恵法師
しゅんえほうし
嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな
なげけとて つきやはものを おもわする かこちがおなる わがなみだかな
西行法師
さいぎょうほうし
難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき
なにわえの あしのかりねの ひとよゆえ みをつくしてや こいわたるべき
皇嘉門院別当
こうかもんいんのべっとう
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする
たまのおよ たえなばたえね ながらえば しのぶることの よわりもぞする
式子内親王
しょくしないしんのう
見せばやな 雄島の海人の 袖だにも 濡れにぞ濡れし 色は変はらず
みせばやな おじまのあまの そでだにも ぬれにぞぬれし いろはかわらず
殷富門院大輔
いんぷもんいんのたいふ
わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし
わがそでは しおひにみえぬ おきのいしの ひとこそしらね かわくまもなし
二条院讃岐
にじょういんのさぬき
来ぬ人を 松帆の浦の 夕凪に 焼くや藻塩の 身もこがれつつ
こぬひとを まつほのうらの ゆうなぎに やくやもしおの みもこがれつつ
権中納言定家
ごんちゅうなごんさだいえ
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