文屋朝康
ふんやのあさやす
白露に 風の吹きしく 秋の野は 貫き止めぬ 玉ぞ散りける
しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける
意訳 |
秋の野原で風に吹かれて飛ぶ白露は、糸で貫き留めていない念珠の水晶玉が、散りゆくかのよう。 |
歌の種類 |
秋 『後撰集 秋中308』 |
決まり字 |
しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける |
語呂合わせ |
しらつら(しら つら) |
人物
文屋朝康(生没年未詳)
文屋康秀の子。
詳細は不明だが、階級の低い官職に終わる。
九十九人一首+一人2首
歌番号22の
「吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ」
は、父親の文屋康秀の作品ではなく、息子の朝康の作品だということが定説になっています
つまり、朝康はこの小倉百人一首の中でただ一人、2首採用された歌人となるのです
白露(しらつゆ)
草花や木に朝露がつく現象をいいます
露は光り、白い粒のように見えます。
ところがこの朝露には2種類あるのをご存じですか
一つは夜中に放射冷却によって葉の表面から熱が奪われ,空気よりも温度が下がります。
湿った空気中の湿気が冷たい葉の表面で冷やされて、気体から液体つまり水になって露がつきます
二つ目は草木が根から吸い上げた栄養を含む水が葉から出たものです
昼間は葉から空気中に蒸散していくのですが、夜の蒸散の少ない状況などで、過剰になった栄養液(?)が葉の気孔から出てきて、朝見受けられる現象となります
この液はその後再吸収されるので昼間は見ることができません
読み上げ
036 清原深養父 夏の夜は | 038 右近 忘らるる |