右近
うこん
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな
わすらるる みをばおもわず ちかいてし ひとのいのちの おしくもあるかな
意訳 |
あなたに忘れられたわたしのことはいいの。でも、あの時の神への誓い「ふたり 永遠に」。神罰で命を失うあなた。それは耐えられないの。 |
歌の種類 |
恋 『拾遺集 恋四870』 |
決まり字 |
わすらるる みをばおもわず ちかいてし ひとのいのちの おしくもあるかな |
語呂合わせ |
忘らるる人の命(わすらるる ひとのいのち) |
人物
右近(生没年未詳)
醍醐天皇の中宮穏子に仕えた女房。
元良親王・藤原敦忠・藤原師輔・藤原朝忠・源順・藤原師氏などと恋愛関係があった。
この歌の恋のお相手は
人物の紹介欄に、多くの男性の名前が並ぶ、恋多き女 右近です。
この歌の恋のお相手は、藤原敦忠でした。
藤原敦忠は、時の権力者藤原時平の御曹司です。
男の「忘れじ」を、よろずのことを掛けて、誓いけれど、忘れにける後に、言ひやりける
『大和物語』
”人の命の惜しくもあるかな”とあります。
神罰が当たるであろう相手に、心から同情する純愛なのか。
それとも、自分を捨てた相手に皮肉を言うからかいの気持ちなのか。
藤原敦忠は38歳の若さでなくなっています。
読み上げ
037 文屋朝康 白露に | 039 参議等 浅茅生の |