曾禰好忠
そねのよしただ
由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな
ゆらのとを わたるふなびと かじをたえ ゆくえもしらぬ こいのみちかな
意訳 |
ゆらゆらと舵をなくした舟人が海をただようような、行く先のわからないわたしの恋 |
歌の種類 |
恋 『新古今和歌集 恋歌一1071』 |
決まり字 |
ゆらのとを わたるふなびと かじをたえ ゆくえもしらぬ こいのみちかな |
語呂合わせ |
ゆらゆく(ゆら ゆく) |
人物
曾禰好忠(生没年未詳)
下級役人として出世せず。
中古三十六歌仙の一人
そのうち、ソタになるんじゃないか
曾禰好忠は長く丹後掾を勤めました。
最初、人々から’曾禰丹後掾’と呼ばれていました。
そのうち、’曾丹後’と呼ばれるようになりました。
その後、’曾丹’に縮めて呼ばれるようになりました。
好忠は、いまにソタになるんじゃないか、とぼやいたそうです。
汗かくよね 夏だもん
うとまねど 誰も汗こき 夏なれば 間遠に寝とや 心へだつる
『好忠集 166』君を嫌いになったわけじゃないんだけど・・・
ほら、汗かくよね?夏だもん。
離れて寝たいな、とか思うじゃない。
そうすると、心もなんだかね、隔ってくじゃない?ね、君もそうでしょ?
由良の門の歌といい、汗こきの歌といい、不思議な感覚の持ち主だったように思います。
恋歌には、恋する気持ちの吸引力に抗えない自分の気持ちを詠うことが多いです。
しかし、好忠の恋歌は、恋する気持ちを見つめている、別の自分の気持ちがいる。
そこが、魅力だと思うのです。
読み上げ
045 謙徳公 あはれとも | 047 恵慶法師 八重葎 |