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017 在原業平朝臣 ちはやぶる

在原業平朝臣在原業平朝臣
ありはらのなりひらあそん

ちはやぶる 神代も聞かず 龍田川 唐紅に 水くくるとは
ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ からくれないに みずくくるとは

意訳
神様の時代でさえも聞いたことがない。竜田川を赤い紅葉が覆い隠し、その葉の下を水がくぐるように流れるなんて。
歌の種類
秋 『古今和歌集 秋歌下294』
決まり字
ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ
からくれないに みずくくるとは
語呂合わせ
 千早から(ちはや から)

人物

在原業平(825年-880年)
桓武天皇のひ孫、平城[へいぜい]天皇の孫
父・阿保親王が薬子の乱に連座、左遷したため、兄中納言行平らと共に臣籍降下し在原氏を名乗る。
六歌仙。三十六歌仙
漢文、漢詩などの学力は無いが、和歌はすばらしいと評される。
雅で麗しい容姿と、奔放な生き方で、昔から美男子の代名詞のようにいわれる。
鷹狩りの名手。
『伊勢物語』の主人公と言われている。

禁じられた恋人への屏風歌

恋人の名前は藤原高子。
後の陽成天皇の母です。
時の権力者、藤原良房の養女で、清和天皇の后になることが決まっていました。
業平35歳、高子18歳のとき二人は出会い、高子25歳が入内直前に駆け落ちするも、失敗に終わります。
歌番号17のこの歌は、皇太子の母であるかつての恋人、高子に献上する屏風に書かれた歌です。
在原業平と二条后

チハヤフルは、血はや降る

血が天から降って来るなどということあるだろうか。神々の時代にも、そんなことは聞いたことがない。大和を貫流する蛇身のその名も龍田の川を、唐紅のくくり染めにして、流れていこうとは。
大和の地霊が山城の地霊に敗れ、わが平城[へいぜい]王朝は瓦解してしまった。その負けいくさが秋ごとに川のおもてに繰り返されるのだ。

高橋睦郎著『百人一首 恋する宮廷』より

業平の祖父平城上皇の寵姫藤原薬子の血が、川となって貫流する様という読解です。

興味深く感じたので、ご紹介いたします。

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