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066 前大僧正行尊 もろともに

前大僧正行尊前大僧正行尊
さきのだいそうじょうぎょうそん

もろともに あはれと思へ 山桜 花より外に 知る人もなし
もろともに あわれとおもえ やまざくら はなよりほかに しるひともなし

意訳
お互いに、なつかしく感じてほしいよ、山桜。こんな山奥では、他にわたしを知る人など、誰もいないのだから。
歌の種類
雑 『金葉集 雑上521』
決まり字
もろともに あわれとおもえ やまざくら
はなよりほかに しるひともなし
語呂合わせ
 もろともに花よ(もろともに はなよ)

人物

前大僧正行尊(1055年-1135年3月21日)
三条天皇のひ孫。
12歳近江の園城寺で出家。
17歳で寺を出て諸国を修行してまわり、修験者として知られる。
園城寺長吏、天台座主、法務大僧正、平等院大僧正と号される。
鳥羽帝の護持僧。
家人としても有名で、歌合いの判者も務める。

思いかけず見た桜

吉野の山桜

金葉集の詞書にはこうあります。

大峰にて 思ひがけず 桜の花を見て よめる

大峰は、修験道の道場として知られる奈良県十津川の東側にある険しい山脈です。
行尊は、”思いかけずに見た桜”に驚いて詠うのですが、何に驚いたのかが、解釈の分かれるところです。
”大峰という場所に咲く桜”に驚いたのか、”時期外れに咲く桜”に、驚いたのか。

『行尊大僧正集』では、この歌の前に以下の歌が掲載されています。

折りふせて のちさへにほふ 山桜 あはれしれらん 人に見せばや

手折った山桜の香りに心動かされる。ものの情緒を知る人に見せて、この感動を分かち合いたい。
美しいものを見て、厳しい修行の最中に、ふいに感じてしまった他人のぬくもりへの渇望感。
すると、続く歌も、当然同じテーマであるならば、「場所に驚いた」と、解釈するのが妥当と思われます。

1本だけ生えた山桜と、修行場で孤独な自分を重ねて、「お互いに懐かしく思おうよ」と話しかける行尊の姿に、なおいっそうの淋しさを感じます。

読み上げ

065 相模 恨みわび 067 周防内侍 春の夜の

百人一首 初めてかるた

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