平兼盛
たいらのかねもり
忍れど 色に出でにけり 我が恋は 物や思ふと 人の問ふまで
しのぶれど いろにいでにけり わがこいは ものやおもうと ひとのとうまで
意訳 |
誰にも隠していたのに、顔色に出てしまっていたらしい、わたしの思いは。恋しているの?と、人に尋ねられるほどに。 |
歌の種類 |
恋 『拾遺集 恋一622』 |
決まり字 |
しのぶれど いろにいでにけり わがこいは ものやおもうと ひとのとうまで |
語呂合わせ |
しのもの(しの もの) |
人物
平兼盛(?-991年1月21日)
三十六歌仙の一人。
妻の妊娠中に離婚したため、赤染衛門の血縁上の父にあたるが、親権を争うも敗訴。
天徳内裏歌合せ
村上天皇35歳の960年4月28日内裏で催された歌合せで、後世の模範とされました。
平兼盛のほか、藤原朝忠、大中臣能宣、壬生忠見、源順、清原元輔など当代一流歌人が、左右の組に分かれて、勝敗を競います。
午後4時。
庭に篝火が焚かれます。
左右の方人の頭には、天皇のお妃方が付かれました。
お題は、「霞、鶯、柳、桜、藤、暮春・・・」など12個。
そのうち、鶯と郭公が各2ずつ、桜が3、恋の歌は5で計20番勝負。
歌合いのあと、管弦の遊びが催され、退出は翌朝になりました。
最後の20番目、兼盛は右方、左には壬生忠見でした。
この勝負、兼盛が僅差で勝ちます。
判者の実頼は引き分けと判じたのですが、帝から勝敗をつけるように言われ、困ります。
補佐の源高明が帝が兼盛の歌を口ずさんでいるのを聞きつけ、兼盛の勝ちとなりました。
ちなみに実頼は20番勝負のうち、右方としてなんと11番に出場。
その成績は3勝6敗2引き分け。
霞 ・・・負け
鶯(1) ・・・負け
鶯(2) ・・・負け
柳 ・・・勝ち
桜(2) ・・・引き分け
款冬(山吹)・・・負け
藤・・・負け
卯花・・・勝ち
郭公(1)・・・引き分け
夏草・・・負け
恋(5)・・・勝ち
右方は、5勝10敗5引き分けで負けますが、10敗のうち6敗は兼盛のせいということになります。
最後の「恋」で勝てて、酒がおいしく呑めたでしょう。
読み上げ
039 参議等 浅茅生の | 041 壬生忠見 恋すてふ |