大江千里
おおえのちさと
月見れば ちぢに物こそ 悲しけれ 我が身一つの 秋にはあらねど
つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど
意訳 |
秋の月を見ると、色々とものを思い悲しい気持ちになります。わたし一人にだけ、秋が来るわけではないのに。 |
歌の種類 |
秋 『古今和歌集 秋歌上193』 |
決まり字 |
つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わかみひとつの あきにはあらねど |
語呂合わせ |
月、わが身一つ(つき わがみひとつ) |
人物
大江千里(生没年未詳)
中古三十六歌仙の一人。
儒者。
大江氏は菅原氏と共に漢学の家。
漢詩を和歌に翻案する
大江千里は『白氏文集』の翻案が得意でした。
契沖がこの歌も白楽天の漢詩を翻案したものと指摘しています。
「燕子樓中霜月夜 秋來只爲一人長」
(燕子楼の中で、霜が降りる寒い月の夜。秋は訪れました、ただ私一人のために。とても長く感じられる秋ね。)
夫に先立たれた女性の気持ちを表現した詩です。
また元稹の詩
「秋非我独秋」
(秋は我一人の秋に非ず)
菅原道真の詩
「此秋独作我身秋」
(この秋は独りわが身の秋となる)
など、漢詩の基本の型沿っているとも言えます。
読み上げ
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